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しびれる

症状

「触っても感覚がにぶい」、「痛みを感じにくい」などの感覚の低下を意味することや、「何もしなくてもビリビリする」などの異常感覚を意味することもあります。

代表疾患

脳卒中、多発性硬化症、脊椎症、脊椎椎間板ヘルニア、糖尿病など

“つつみメモ”

・「しびれ」が主訴の場合、まず患者さんの話す「しびれ」が何を意味しているのか把握する必要がある。
・「しびれ」が主訴の場合、局所病変なのか、系統的な障害なのか(多発ニューロパチー、多発単ニューロパチー)を考える必要がある。
・局所病変であれば、どこに病変があるのか、系統的な障害であれば、多発ニューロパチー(手袋靴下型の症状分布)、多発単ニューロパチー(非対称性、神経差のある症状分布)のいずれの障害なのかを見極めていく。
・慢性の経過をとりうるものとして、手根管症候群や頸椎症性脊髄症のような、慢性的な圧迫性病態も鑑別にあがる。
・実臨床において頻度の高い多発ニューロパチーの原因は糖尿病、アルコール多飲やビタミンB1欠乏、化学療法などの薬剤性となる。糖尿病の有無や罹病期間、血糖コントロールの状況、アルコール摂取歴、内服薬、食生活を中心とした生活スタイル、胃切除の既往などについて詳細を確認する。頸椎症と腰椎症の合併や頸椎症のみでも四肢遠位のしびれを呈しうる(偽多発ニューロパチー型)ことにも注意が必要。
・多発単ニューロパチーの原因として頻度が高いものは血管炎であり、日ごとに症状が悪化して、みるみる神経症候が重症化することもあるため、速やかな対応が必要となる。
・三叉神経の第3枝の支配領域には下顎角が含まれない。下顎角のラインに感覚障害の境界がみられる場合、心因性(機能性)の可能性がある。
・末梢神経の固有領域の中心:橈骨神経は第1指と第2指背側の間にある水かき部分。正中神経では主に第2指の掌側。尺骨神経では第5指。
・第4指の掌側においては、末梢神経支配でいうと橈側が正中神経支配、尺側が尺側神経支配と中央部で分かれているのが特徴(ring finger split)。C8神経根障害では第4指全体に及ぶのと対照的。
・前胸部にあるC4とT2の間の不連続線をcervical lineと呼ぶ。このlineの下方から痛覚刺激を行っていき、このlineを超えた途端に痛みが強く知覚される場合をcervical line陽性と判断し、C4とT2の間に感覚障害のレベルが存在することを示唆する。

・腕橈骨筋反射を誘発するために橈骨端部を叩打した際、腕橈骨筋の収縮がみられずに、手指の屈曲が観察される現象を橈骨逆転反射と呼ぶ。C5, C6髄節の障害を示唆する現象で、C5, C6髄節の障害により腕橈骨筋反射が減弱あるいは消失し、それより下位のC8, T1髄節の手指屈曲反射が亢進していることを反映している。
・顔面を含む片側半身のしびれでは、脳幹から視床の局所病変が考えられる。
・高齢者で、圧迫性や糖尿病性で説明しにくい単神経障害や複数の単神経障害がみられた場合、悪性リンパ腫の神経浸潤や悪性腫瘍の転移を考慮する必要がある。
・突発完成型の経過で、脊髄の局所病変が想定される場合、脊髄梗塞を含む脊髄の血管障害を考える。脊髄梗塞では、病変高位に一致した頸部や背部の痛みを伴うことがあり、他の脊髄症との鑑別に役立つ。
・気管支喘息、アレルギー性鼻炎、好酸球増加のみられる症例で多発単ニューロパチーを認めた場合、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を考える。
・皮膚変化(色素沈着、多毛、血管腫)、浮腫、女性化乳房を伴う多発ニューロパチーではPOEMS症候群を考慮する。POEMS症候群では、頭部MRIで脳の主幹動脈の狭窄や閉塞、硬膜肥厚を認めうる。
・2か月以上かけて進行する多発ニューロパチーで、検査にて脱髄所見がみられる場合、CIDPを考慮する。腸腰筋を含む下肢近位筋と下肢遠位筋が同程度に障害されるパターンは、多発ニューロパチーのうち典型的CIDPやギラン・バレー症候群の脱髄型で認められる。
・V30M型の遺伝性ATTRアミロイドーシスの非集積地症例では、50歳以上の比較的高齢で発症し、明らかな家族歴を認めないことが多く、初期には自律神経障害(起立性低血圧)が目立たない症例が多いという特徴がある。遺伝性ATTRアミロイドーシスには新規治療法(四量体安定化剤やRNAi治療薬)が開発されており、原因不明の多発ニューロパチー患者では、家族歴、自律神経症状、心肥大や不整脈、手根管症候群、眼症状(硝子体混濁や緑内障など)に注意を払い、遺伝性ATTRアミロイドーシスを積極的に疑って鑑別を勧める必要がある。

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