メニュー

ふらつく

症状

まっすぐ歩けなくなったり、転びやすくなったりします。脳部位に障害を生じる場合と、両足の感覚機能に障害を生じる場合があります。

代表疾患

脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、多発ニューロパチー、脳卒中(脳梗塞・脳出血)など

 

“つつみメモ”

・「ふらつき」が主訴の場合、以下の3つを鑑別する
■ 小脳性運動失調:小脳の障害により身体の平衡が保てなくなるもの。呂律がまわりにくい、字が汚くなる、片脚立ちができない。
■ 感覚性運動失調:深部・固有感覚(関節位置覚、振動覚、運動覚)の障害により、運動に際して感覚に基づくフィードバックが働かないため、視覚情報の補正がないと運動が拙劣になったり、姿勢が保てなくなるもの。洗顔時にふらつきが強くなる。
■ 姿勢反射障害:体が傾いた際に重心を移動してバランスをとる姿勢反射や、足を踏み出して転倒を防ぐ反射的動作が障害されて転倒しやすくなったもの。前方に少しバランスがくずれると、そのまま転倒を防ぐために重心を追いかけるように足が「とっとっとっ」と前に出る加速歩行(突進現象)がみられたり、椅子に座る際に「どしーん」と勢いよく座ってしまう。
・小脳性運動失調では、局所病変による症状なのか、全身性・両側性で小脳の系統変性による症状なのかを識別する必要がある
・小脳虫部の局所病変では体幹運動性失調のみを呈することがあり、構音や四肢の診察では小脳性運動失調が明らかでないことがある。
・発症からの時間経過に加えて、その時点での重症度を加味して判断していく
・慢性の経過で小脳の系統変性がみられる場合、脊髄小脳変性症と診断する前に、アルコール性や薬剤性など他の原因がないか確認する必要がある。
・常染色体顕性遺伝形式の遺伝性脊髄小脳変性症のうち、純粋小脳型を呈するものとして本邦ではSCA6、SCA31の頻度が高い。
・両親が若くして亡くなられている場合や、離婚などにより情報が得られない場合には、明らかな家族歴がなくとも、遺伝性疾患の可能性は一定程度残る。
・慢性の経過で小脳の系統変性を認め、自律神経障害を伴う場合には、孤発性の脊髄小脳変性症の1つであるMSA-Cを考える。MSA-Cは他の脊髄小脳変性症と比較して進行が早く、突然死のリスクがある。
・運動症状発症から2~3年以上経過しても橋内に縦の高信号すらみえてこないような場合には、MSA-Cの可能性はかなり低い。
・亜急性の経過で小脳の系統変性を認める場合、傍腫瘍性神経症候群や自己免疫性小脳失調症が考えられる。その場合、腫瘍に対する加療や免疫療法で進行の停止や症状の改善が得られる可能性がある。
・亜急性の経過で、後索、あるいは後索と側索の障害を示唆する症候がみられた場合、ビタミンB12欠乏による亜急性連合性脊髄変性症が考えられる。葉酸や銅の欠乏でも類似した臨床経過・画像所見をとりうる。
・慢性の経過でパーキンソニズムがみられる場合、発症早期から姿勢反射障害や易転倒性が目立つ症例では進行性核上性麻痺を考える。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME